地域密着型サービス(その2)

グループホームについてお話します。

グループホームと聞くと精神障害者や知的障害者のグループホームもあり、いずれを指すのか分からないことがありますね。介護保険でのグループホームは認知症高齢者のための施設です。サービスの正式名は「認知症対応型共同生活介護」といいます。

この施設は名前の通り、認知症の人だけのサービスなので、医師から認知症と診断されなければ利用できませんが、診断があれば要介護と認定された人だけでなく、要支援2と認定された人も利用できます。

認知症グループホームは9人くらいの小さな単位(ユニット)で運営されていて、多くが個室となっています。グループホームは、少人数の家庭的な雰囲気の中で日常生活や機能訓練等の援助を受けて生活するのですが、特筆すべきことは共同生活を送るという視点です。共同生活をするというからには、利用者は自分で出来ることはできるだけ自分でするよう心掛けなければなりません。 そして、共同生活をする利用者をサポートする職員は、すべてを世話してしまうのではなく、利用者を根気よく見守りながら、できるだけ日常生活のことを自分でできるよう援助するのです。

ときに、昨年私の知り合いのおばあさんがグループホームに入所したのですが、「ここはサービスが悪いよ。ヘルパーさんは何もやってくれない。 お昼の支度を手伝ってなんていう。 こっちはお金払って入っているのに…。」と不平を言います。「今までやって来た事を職員の助けを得ながら取り組める事はよいリハビリになるのよ。」といっても、彼女は頑として受け入れず、食事や洗濯を手伝っている仲間をリビングから冷ややかに眺めています。

認知症グループホームの費用は、入居金が必要な所もあれば不要な所もあり、事業所によって大分異なります。また、要介護度によっても変わってきます。亀岡には「三愛の里」、「すずらん」、「つつじの家」、「洛和グループホーム」、「陽風荘」などがあります。利用するときは一時金等の有無や費用についてしっかり尋ねましょう。

地域密着型サービス(その1)

地域密着型サービスでまず最初に紹介したいのは小規模多機能型サービスです。

このサービスの正式名称は小規模多機能型居宅介護といいます。

どのようなサービスかというと、

デイサービスとショートステイ、ホームヘルプサービスの機能が一緒になったサービスです。

でも、そんなにたくさんのサービスが一緒になったら訳分からなくなりません?

ところが利用者の立場になったら随分と使い勝手がいいのです。

たとえば、介護が必要になった高齢者が家で一人で暮らしていて、

いつもはデイサービスに行くが、家に帰ったら普段の家事の助けも必要だという時、

デイに行って事情の分かっている施設の職員に来てもらえば気が楽ですね。

それにいろいろな事情で家に帰れない場合にも、

デイで行っている施設に宿泊できるとなれば不安が少なく安心です。

つまり、小規模多機能型のサービスは、デイサービスを中心にして、利用者の状態や希望に応じて

随時ホームヘルプサービスとショートステイを組み合わせて利用することができるのです。

ただし、この小規模多機能型のサービスを利用している時には、

このサービス自体がいろいろなサービスを兼ねているので、

他の事業所のホームヘルプサービスなどを利用することはできません。

気になる利用料金ですが、

各サービスを流動的に組み合わせていくので、回数ではなく定額制(月額)になっています。

要支援の人から要介護の人まで利用できるので、

それぞれの介護度に合わせた料金の一割を払うことになります。

亀岡市では、「あゆみの家」「まごころホーム」「すずらん」「陽風荘」が 

小規模多機能型のサービスを提供しています。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは2006年の法改正で創設された新しい形のサービスです。

今までの介護保険サービスは、大きく在宅サービスと施設サービスに分かれていましたね。 

しかし、新たに加わった地域密着サービスは、その名のように、地域に住む人が

使いやすいように地域事情に合わせたサービスとなっていて、

在宅サービスと施設サービスを複合的に組み合わせたサービスなどもあり、

今までの範疇では括られないサービスとなっています。

そして、地域密着型サービスが今までの介護サービスと大きく違う点は、

事業者の指定や指導・監督が市町村になったことです。

介護サービスでは、都道府県がサービスを提供する事業者の指定や指導・監督を行って

いますが、地域密着サービスでは市町村が行うことになりました。

ですから、在宅サービスと施設サービスについては、全国何処に行ってもそれらのサービ

スを利用できますが、地域密着型サービスは提供されている場所に住んでいる住民だけ

しか利用できません。

つまり、亀岡市で提供している地域密着型サービスは亀岡市の住民だけが利用できる、

ということです。(これはあくまで原則です)

では、次回は地域密着型サービスにはどんなサービスがあるかを見ていきましょう。

施設サービス(その3)

施設サービスの3番目は「介護療養型医療施設」の話です。

「老健」や「特養」はなじみがあるけど、介護保険で言う「介護療養型医療施設」ってあまり知られていないですね。

「介護療養型医療施設」とは老人病院のことです。

亀岡市には「亀岡シミズ病院」「亀岡病院」「ムツミ病院」の3施設があります。

介護保険施設ですから介護スタッフはもちろんのこと、病院でもあるので医療スタッフも揃っており、

他の介護保険施設より医療に重点が置かれているのが特徴です。

だから入所中に、もし急に体の具合が悪くなったら移動することなく、すぐ診てもらえる利点があります。

この施設にはどのような人が入所できるのかと言うと、急性期の病気の治療は終わっているけど、

まだ家庭に戻るには療養が必要とされる要介護1~5の高齢者等です。

しかし「介護療養型医療施設」には、必ずしも医療が必要でない人が多いのが問題となっています。

そこでいろいろ議論の結果、この施設サービスは近い将来廃止になるようです。

医療の必要性の高い人は介護保険ではなく医療保険の病院を利用し、

慢性的な病気での医療や介護の必要な人は「老健」を利用してもらおう、との考えのようです。

施設サービス(その2)

今日は介護老人福祉施設のお話です。

介護保険では介護老人福祉施設と言いますが、この施設は老人福祉法の特別養護老人ホームことで、

一般的には「特養」と呼ばれている一番なじみのある老人ホームです。

この施設は生活施設なので、「老健」がリハビリに重点を置いているのに対して、

「食べる」「着替える」「入浴する」「排泄する」と言った日常生活を援助することに重点を置いています。

もちろん在宅復帰も目指しますが、入所する人は介護問題等で在宅での生活が困難な高齢者なので、

多くの人がこの施設を終の棲家としているようです。

亀岡市には、亀岡園、第二亀岡園、友愛園、たなばたの郷の4つの特養施設があります。

今亀岡にある特養施設は多くがユニット型となっています。

従来の特養施設は一部屋に4~6人が同居し、部屋が狭いので自分の荷物の持ち込みもできず、

プライバシーもありませんでした。

ユニット型では、ちょっとした家具や所有物が持ち込みでき、トイレも備わった八畳くらいの個室で生活します。

自分の部屋が持てるのはプライバシーがあってよいですが、部屋に閉じこもってしまわないよう

各ユニットに食事や談話ができる共同の生活室が備わっており、昼はほとんどそこで過ごします。

しかも1ユニットが少人数制で同じ職員が世話をしてくれるので、家庭的な雰囲気の中で生活できるようになっています。

世の常ですが、サービスが良くなれば料金も上がり、

ユニット型ケアでは施設サービスや部屋代が少し高くなっています。

施設サービス(その1)

在宅サービスは自分の家で暮らしながら利用するサービスですが、

施設サービスというのは施設に入所して受けるサービスです。

施設サービスは「要介護」認定でないと利用できません。(実際は要介護3~です)

介護保険による施設サービス提供施設は介護保険施設と呼んでいます。

介護保険施設には、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設の3種類があります。

今日は介護老人保健施設をみてみましょう。

介護老人保健施設は、よく略して「老健」と呼ばれています。

亀岡には「陽生苑」と「こもれび」の2施設があります。

この施設は病院と在宅の中間としての役割を持っていて、入所者がずっとその施設で暮らすのではなく、

必要な医療や機能訓練等を行い家庭に戻ってもらうことを目指しています。

ここは医療施設でもあるので、介護士さんの他に、常勤のお医者さん、看護師さん、理学療法士、

作業療法士などリハビリの専門家をそろえています。

この施設はどちらかと言うと、生活支援より医療や機能訓練に重点を置いているので、

医学的管理の下に介護や機能訓練を受けたい人に向いている施設です。

施設サービスの料金は在宅サービスの利用限度額とは違った料金体系です。

費用は施設サービス料金の1割ですが、施設サービス費は利用者の介護度やサービス内容、

その施設の職員配置体制により違いがあります。

また食費、おやつ代、部屋代、理美容代、教養娯楽代等は自己負担となります。

費用の軽減措置がありますが、それは後日まとめてお話します。

福祉用具のレンタルと購入

介護保険のサービスには福祉用具のレンタル費用や購入費の補助もあります。

レンタルで使える用具としては、①車椅子 ②車椅子の付属品 ③特殊寝台 ④特殊寝台の付属品 ⑤床ずれ防止用具  ⑥体位変換器 ⑦手すり ⑧スロープ ⑨歩行器 ⑩杖 ⑪認知症老人徘徊感知器 ⑫移動リストの12種類があります。

レンタル費用は利用限度額内ならば、実際にかかった費用の1割負担だけです。

もし利用限度を超えていくつかレンタルしたいものがあれば、それらの費用は全額負担となります。

要介護と認定されればこれらの12種類の用具はすべて利用できます。

要支援と認定されると、利用できる用具は、手すり、スロープ、歩行器、杖だけです。

でも、福祉用具にはレンタルに向かない物もあります。

腰掛便座、特殊尿器、簡易浴槽、入浴補助用具などは特定福祉用具として購入できます。

購入費の補助は10万円が限度額です。

(ただし、1割負担なので、もし10万円の物を購入すると、1万円の負担があります。)

福祉用具は、レンタルにしても購入にしても、販売事業者が府から指定されています。

指定された販売事業者は専門の相談員を置いて、専門的立場からアドバイスできるようにしています。

福祉用具の利用は、指定された事業者からではないと費用が支給されないので、

自分で先に買ってしまわないで、あらかじめケアマネジャーに相談したほうが良いでしょう。

在宅サービス(ショートステイ)

家で介護されていても時々介護する家族の都合が悪くなるときがあります。

たとえば、冠婚葬祭や旅行で家を留守にしなければならなくなった時、

介護者が病気になったときなどその理由はさまざまです。

またそのような理由でなくても、介護者が疲れてしまった時もあるでしょう。

そんな場合利用できるサービスとして、ショートステイがあります。

ショートステイは、介護を受ける本人が介護保険施設などに入所し、日常生活支援や

機能訓練を受けるなど、短期間そこの施設に入所している人たちと同じ生活を送ります。

利用できる期間は連続で最大限30日までです。

費用は、認定度、利用する施設、部屋の広さ、サービスの内容によって変わります。

在宅サービス(デイサービス)

在宅3本柱の2番目はデイサービスの話です。

デイサービスは、施設に通って受けるサービスです。

1日どんなことをするのでしょう?

朝9~10時ごろ送迎車が迎えに来ますから、それに乗って施設に行きます。

施設に着くと、まず血圧をはかり今日の体の調子を見てもらいます。

その後、機能訓練をしたり、入浴したり、お昼を食べます。

午後は様々でゆったりとして過ごす人もいれば、レクレーションをする人もいます。

2時半ごろおやつが出ます。(どこの施設も工夫を凝らしていて美味しそうですよ。)

3~4時には帰宅となります。

デイサービスはどこの施設も同じようなことをしているように見えますが、

食事や入浴などの日常生活支援とレクレーションを主としたサービスと、

日常生活支援とリハビリテーションを主としたサービスに分かれています。

どちらもデイサービスと一緒に呼んでしまっていますが、

リハビリテーションが主であるサービスの方はデイケアといいます。

デイケアは医療施設(老人保健施設や病院などの医療機関)で行われるサービスなのです。

亀岡では、陽生苑、こもれび、シミズ病院、亀岡病院、柿花診療所などが

デイケアを行っています。  

他の通所介護施設で提供されているのがデイサービスです。

在宅サービス(ホームヘルプサービス)

介護保険にはどんなサービスがあるのでしょう?

まず自分の家にいて利用できるサービスから見ていきましょう。

在宅サービスには3本柱と呼ばれるメインのサービスがあります。

今日はその1つ、ホームヘルプサービスについてお話します。

ホームヘルプサービスというのは、ヘルパーさんに家に来てもらい、

身の回りの世話や家事を手伝ってもらうサービスです。

サービスは食事、入浴、排泄などの世話(身体介護)と、

調理・洗濯・掃除などの家事(生活援助)等に分かれています。

もちろん両方のサービスを組み合わせて使うこともできます。

身体介護と生活援助では少し料金が違います。

どちらも30分単位で料金が設定されているので、

ヘルパーさんは決められた時間内に仕事を終えなければならず余裕がなく大忙しです。

時々ヘルパーをお手伝いさんと勘違いして、あれこれ契約以外の仕事を頼む人がいます。

ホームヘルプサービスはケアマネジャーが立てたプランに沿って援助していきますから、

援助内容が決まっていて、あまり融通はきかないのです。

まして、ちょっと頼みたくても一緒にいる家族の事まではしてもらえません。