令和8年6月25日、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が公布されました。この法律は、介護保険法をはじめとする複数の社会福祉関連法規に広範な改正をもたらし、原則として令和9年4月1日から施行されます。今回の改正は、高齢化の進展と介護人材の確保という喫緊の課題に対応するため、質の高い介護サービスの確保と安定した経営基盤の確立を目指すものです。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の更新制廃止や電子資格確認の導入、夜間対応型訪問介護の廃止、特定地域への特例的な対応などが盛り込まれています。これらの変更は、家族介護者、介護業界で働く方々、そして介護事業者の皆様にとって、今後の介護サービスの利用や提供のあり方に大きな影響を与えることが予想されます。
今回のポイント
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)の更新制が廃止され、都道府県知事による資質向上研修の受講が義務化されます。
- マイナンバーカードを利用した電子資格確認が導入され、夜間対応型訪問介護は廃止されます。
- 人口減少地域等における「特定地域居宅サービス」の特例給付が新設され、有料老人ホームには登録制度が創設されます。
背景
我が国では高齢化が急速に進展しており、介護サービスの需要は増加の一途をたどっています。一方で、介護人材の不足や事業所の経営課題も深刻化しています。こうした状況を踏まえ、国や都道府県には、業務効率化・生産性向上による「質の高い介護サービスの確保」と「安定した経営基盤の確立」の双方を実現するための施策・援助を行う責務が明確化されました。
また、これまでの介護保険制度の運用では、2017年の処遇改善加算認定年を除き、実際の介護報酬は下がり続けているという指摘もあります。物価高やコロナ禍の影響など、極めて厳しい状況下で、2021年度の介護保険法および介護報酬の改定が2022年10月に持ち越され、高所得者の介護保険料引き上げや、診療報酬・医療保険自己負担2割対象者の拡大、介護老人保健施設の多床室料全額自己負担化といった小規模な改定が先行して実行されました。2024年度も介護報酬改定により、デイサービスの位置付けが大きく変化すると予想されており、今回の法律改正は、こうした制度改革の大きな流れの中で位置づけられます。
家族介護者への影響
今回の改正は、家族介護者の皆様にもいくつかの影響をもたらす可能性があります。
- 電子資格確認の導入:マイナンバーカードを利用した電子資格確認が導入されることで、被保険者証の提示が不要になるなど、手続きの利便性が向上する可能性があります。
- 特定地域でのサービス拡充:人口減少地域等にお住まいの場合、「特定地域居宅サービス」等の特例給付が新設されることで、これまでサービスが届きにくかった地域でも、地域の実情に応じた介護サービスが利用しやすくなることが期待されます。
- 有料老人ホームの選択肢:老人福祉法に有料老人ホームの登録制度が創設されます。これにより、登録されたホームの情報が透明化され、契約締結前の書面交付が義務付けられるなど、入居を検討する際の安心材料が増えることが考えられます。また、登録外のホームについても事前届出や計画書の添付が義務化されるため、より適切な情報に基づいた施設選びが可能になるでしょう。
- 地域支援の強化:令和8年度には地域支援事業実施要綱等も改正され、介護情報利活用事業の創設による情報共有の推進や、生活支援コーディネーターを中心とした家族介護者への地域支援ネットワークの拡充、仕事と介護の両立支援の充実が図られます。これにより、家族介護者の皆様が地域で孤立することなく、必要な支援を受けやすくなることが期待されます。
夜間対応型訪問介護の廃止は、夜間の急な介護ニーズへの対応に影響を与える可能性があります。代替サービスや地域の支援体制について、お住まいの自治体やケアマネジャーに確認することが重要です。
介護職・求職者への影響
介護業界で働く方々、そしてこれから介護職を目指す方々にとっても、今回の改正は重要な意味を持ちます。
- ケアマネジャーの資格更新制度変更:介護支援専門員(ケアマネジャー)の更新制が廃止され、有効期間および更新のための研修がなくなります。代わりに、都道府県知事が行う資質向上研修の受講が義務付けられ、未受講の場合には受講命令や業務禁止処分が課される可能性があります。これは、ケアマネジャーの資質向上を継続的に図りつつ、更新手続きの負担を軽減することを目的としていると考えられます。事業者には、ケアマネジャーが研修を受講する機会を確保する措置が求められます。
- 業務効率化と処遇改善への期待:国・都道府県の責務として、業務効率化・生産性向上と従事者確保が明記されました。これにより、職場環境の改善や、介護職員等処遇改善加算に関する取り組みがさらに推進されることが期待されます。令和8年度分の介護職員等処遇改善加算に関する事務処理手順や様式例も提示されており、処遇改善への継続的な取り組みが示されています。
- 従事者確保のための協議会:都道府県には、社会福祉事業等従事者の確保のための協議会を置くよう努めるものとされ、離職者だけでなく現職従事者も届出を行うよう努める規定が整備されます。これにより、介護人材の確保に向けた地域ぐるみの連携が強化され、求職者にとっては就職支援の機会が増える可能性があります。
- 夜間対応型訪問介護の廃止:夜間対応型訪問介護が廃止されるため、当該サービスに従事していた介護職の方は、他のサービスへの移行や、新たなスキル習得が必要となる可能性があります。
介護事業者が確認したいこと
介護事業者の皆様は、今回の法改正に対応するため、多岐にわたる準備と確認が必要です。
- 電子資格確認システムの導入準備:マイナンバーカードを利用した電子資格確認の導入に向けて、必要なシステム改修や機器の整備、職員への周知・研修を進める必要があります。
- 夜間対応型訪問介護の廃止への対応:現在、夜間対応型訪問介護を提供している事業所は、廃止に伴う利用者への影響を最小限に抑えるため、代替サービスの検討や利用者・家族への丁寧な説明が求められます。
- 特定地域居宅サービス等の検討:人口減少地域等で事業を展開している場合、「特定地域居宅サービス」等の特例給付の具体的な内容や、市町村による事業実施の動向を注視し、新たなサービス提供の可能性を探ることが重要です。
- ケアマネジャーの資質向上研修への対応:所属するケアマネジャーが都道府県知事が行う資質向上研修を確実に受講できるよう、受講機会の確保や費用負担について検討し、体制を整備する必要があります。
- 登録施設介護支援・介護予防支援の仕組み:登録有料老人ホームに入居する方を対象としたケアマネジメントや給付の仕組みが創設されます。有料老人ホームを運営する事業者は、この制度の具体的な内容を把握し、対応を検討する必要があります。
- 有料老人ホームの登録制度への対応:老人福祉法に基づく有料老人ホームの登録制度が創設されます。一定の要件に該当する有料老人ホームは、都道府県知事による登録(5年更新)が必要となり、指導監督や誇大広告の禁止、契約締結前の書面交付などが義務付けられます。登録外のホームも事前届出や計画書の添付が義務化されるため、全ての有料老人ホーム運営事業者は、制度の詳細を確認し、必要な手続きを進める必要があります。
- 地域支援事業との連携強化:介護情報利活用事業の創設や家族介護者への地域支援強化、仕事と介護の両立支援の充実など、令和8年度の地域支援事業の改正点を踏まえ、市町村や関係機関との連携を強化し、地域包括ケアシステムの一員として役割を果たすことが求められます。
- 介護報酬改定の動向:2024年度の介護報酬改定に続き、今後の改定の議論も注視し、サービス提供体制や経営戦略に反映させる必要があります。参考情報には2026年版の加算・減算に関する情報も示されており、今後の介護報酬改定の議論の方向性を探る上で参考となるでしょう。
今後の確認ポイント
- 公式発表で確認すべき点:今回の法律改正の詳細を定める政令や省令、厚生労働省からの通知が順次発出される見込みです。特に、電子資格確認の具体的な運用方法、特定地域居宅サービス等の詳細な給付要件、ケアマネジャーの資質向上研修の内容と実施体制、有料老人ホーム登録制度の具体的な手続きなど、公式発表を継続的に確認することが不可欠です。
- 自治体・事業所に確認すべき点:各自治体は、国の制度改正を受けて、地域の実情に応じた具体的な運用指針や条例を定めることがあります。家族介護者の方は、お住まいの市町村の窓口や担当のケアマネジャーに、具体的なサービス内容や手続きについて確認してください。介護事業者は、都道府県や市町村の担当部署に、運用上の留意点や必要な対応について早めに相談することをお勧めします。
- 続報で確認したい点:今回の法律には、施行後5年を目途に状況を勘案して検討を加え、必要な措置を講ずる「検討規定」も盛り込まれています。今後も、介護保険制度の持続可能性と質の向上に向けた議論が継続されることが予想されます。介護報酬改定に関する議論の進捗や、地域支援事業の具体的な成果についても、引き続き注目していく必要があります。
まとめ
令和8年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」は、令和9年4月1日の原則施行に向けて、介護保険制度に多岐にわたる変更をもたらします。ケアマネジャーの更新制廃止、電子資格確認の導入、特定地域への対応強化、有料老人ホームの登録制度創設など、その内容は家族介護者、介護職、介護事業者の皆様にとって非常に重要です。
これらの改正は、介護保険制度が直面する課題に対応し、より質の高いサービス提供と持続可能な制度運営を目指すものです。読者の皆様には、厚生労働省や自治体の公式発表を継続的に確認し、ご自身の状況に応じて、ケアマネジャーや事業所などの専門機関に相談されることをお勧めします。
参考情報
- 介護保険最新情報vol.1518「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」 | 市民協(認定NPO法人市民福祉団体全国協議会)公式サイト
- 【2026年版】介護報酬の加算・減算と単位一覧(全サービス種別)
- 川崎市地域包括ケアシステムポータル » 介護保険最新情報1536 令和八年熊本地震による災害に対処するための要介護認定有効期間及び要支援認定有効期間の特例に関する省令等の施行等について(通知)
- 24年度介護報酬改定を見据えたデイサービスの生き残り経営戦略 【セミナーレポート】 | 介護ソフト・介護システムならリハブクラウド
- 介護・高齢者福祉分野のトピックス|厚生労働省
- 介護・高齢者福祉 |厚生労働省
- 介護保険最新情報掲載ページ|厚生労働省
注:この記事は、公開情報を元にAIによって生成されたものです。最新の正確な情報については、元の情報源をご確認ください。
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