介護相談とは直接関係ないかもしれないけど、
人間関係を良好に保つのに知っていた方がよいかなと思い、ちょっとした話を投稿します。
それはずっと昔聞いた渡辺和子さんの講演での話です。
彼女は当時岡山にあるノートルダム清心女子大学の理事長で、 福祉活動に一生を捧げてきた人です。
その業績は日本のマザー・テレサとも呼ばれる偉大なものですが、
壇上に上がった彼女は、 拍子抜けするほど華奢で小柄な可愛らしいおばあさんシスターでした。
可愛らしい鈴のような声で、 優しく、ゆっくり、聴衆に話しかけるように話をされました。
彼女からはたくさんのよい話を聞いたのですが、一番心に残ったのが「のの字の哲学」と言う話です。
これは人間関係をスムーズにするもので、 夫婦にとったら円満の秘訣となるそうです。
「のの字の哲学」とは、簡単に言えば相手を受け入れること。
しかし、相手を受け入れるには、 まず自分が自分自身から解放され、 自由になっていなければならない。
自分のバリアーを取り去り、 「!」とか「?」と応じるのではなく、相手のニードを感じ取り、
「そうなの」と相手の気持ちに添うようにするのだそうです。
たとえば、夫が仕事から「ああ、暑かった!」と帰って来たとする。
そのとき「そう?」とか、 「夏だもの、当たり前じゃない!」ではなく、
「そお~、暑かったの、大変だったわね」と 夫の気持ちを受け入れる。
夫が「疲れた~」って言った時、 「私だって疲れているのよ!」ではなく、
「そう、疲れたの」とまず相手を思いやるのです。
相手が「ああ、暑かった!」「疲れた!」と言った時、
相手のニードは、批判や分析をしてもらいたい訳ではなく、 そう言う自分を分ってもらいたいのです。
相手のニードの受け取りを間違えると、 コミュニケーションは深まらず、関係はよい状態を保てない。
相手を受け入れれば、 相手も自分を受け入れるように胸を開いてくれる。
そこからよい関係は生まれるというのです。
彼女もたくさんの失敗をしてきたそうです。
ある時、仲間のシスターが 「喘息が出て夕べ眠れなかった。」と言った時、
彼女は思わず 「シスター、夕べ薬をお飲みにならなかったの?」と尋ねました。
しかし別のシスターが、 「まあ、咳がひどかったの。それは辛かったわねぇ。夜が長かったでしょう。」
と話すのを聞いて、すごく自分を恥じたそうです。
そのシスターは別のシスター言葉にうれしそうに頷いていたからです。
人間は弱いから失敗をする。でも失敗したっていいと言います。
この世の中に無駄なことは何もなく、 取り返しのつかないこともない。
失敗ごとに自分を知り、そこから何かを学び、 自分を見捨てず歩み続ければそれでいい。
「のの字の哲学」、それを実行できるかできないかで 人生は随分変わるそうです。
さて、この「のの字の哲学」、 自分を解放させることが難しそうですが、 参考にしていただければ…。